Information

2008年5月26日

“生ゴミのために生みだされる無駄”

ディスポーザの利用には、埋め立てゴミの減量以外にも大きなメリットがあると賛成派は語る。

ニュージーランドヘラルド紙
アンジェラ・グレゴリー(環境記者)

ディスポーザの利用は、道路沿いで行われる有機ゴミの回収よりも、生ゴミを処分する上で環境に優しい方法だといえるかもしれない。

InSinkErator®社のマーケティングを担当するパレックス・インダストリーズ社委託の調査によると、生ゴミを排水溝から下水処理場に流すことには潜在的なメリットがあることがわかった。 現在、多くの人が、生ゴミを一般家庭ゴミと混ぜて捨てている。

埋め立て地に運ばれるゴミの23パーセントは有機ゴミで、腐敗するときに温室効果ガスを排出する。

環境工学者のジョン・クック氏は、自身の調査によって、生ゴミを排水溝から下水道や下水処理場に流すことには、埋め立てられるゴミの量とメタンガス排出量の削減にとどまらない大きなメリットがあることが明らかになったと語った。

例えば、生ゴミが加わることで、下水から窒素とリンを取り除くことが容易になる。

また、スラッジのような未処理の固形ゴミからバイオガスを抽出できるような下水処理システムを持つ自治体では、食品が増えることでバイオガスの供給量を増やすことができるのだ。

クック氏は、現在下水処理場でバイオガスを抽出している自治体には、マンゲレ市、ハミルトン市、クライストチャーチ市などがあると言う。

その他、今後バイオガスを利用することを見込んで下水道計画を立てている市には、ノースショア市、トーランガ市、ロトルア市、パーマーストンノース市などがある。

彼は、微生物発電所が高価なものであることは認めるが、一部自治体で検討しているような、道路脇で有機ゴミを回収し一カ所で集中的に堆肥化するという選択肢もまた、同じく多額の費用が必要だ。

クック氏によれば、それほど大規模な堆肥化を効率的に管理することは難しく、ゴミの回収に必要なトラックの台数を考えれば、やはり費用は膨大になる。

また、有機ゴミを各家庭で保管した後、分別回収のために外に出す場合、においと害虫の問題も出てくる。

各家庭で上手に堆肥化できれば、それは生ゴミの理想的な処理方法だといえるが、共同住宅の居住者など、誰にでも可能なわけではない。ディスポーザの利用という選択肢は衛生的であり、人々が思うほど多量の水を使うわけでもないのだと彼は言う。

クック氏の試算では、平均的な家庭では水洗トイレ、料理、掃除、洗濯などで1日に450リットルの水が使われるのに対し、生ゴミを流すために使われる水の量は18リットルだという。 また、ディスポーザが下水処理システムに負担をかけることはないとも語っている。「単純すぎる取り組みを避け、ディスポーザに関する先入観にとらわれないようにすべきです。」

パレックス・インダストリーズ社のアンドリュー・ヒッグス部長は、この報告書から得られた重要な知見は、バイオソリッド(下水汚泥)が土壌に施用されたり再生可能なエネルギー源としてリサイクルされたりするような「閉じたループ」のゴミ管理プロセスにおいて、ディスポーザが果たせる役割が存在するということだと語る。

ヒッグス氏によれば、30パーセント前後の家庭がディスポーザを設置している。

「この装置が、埋め立て地に送られる家庭ゴミから台所の生ゴミを分別するのに、費用効率が高く便利で衛生的な手段を提供してくれるということを、より多くのニュージーランド人に知っていただく必要があります。」

ヒッグス氏は、浄化槽のある家庭でもディスポーザを安全に使うことができると言う。 家庭での堆肥化には限界があるとも述べている。

「庭から出る適量の木材ゴミを混ぜずに、家庭で下手に堆肥化を行うと、臭くて水分の多いどろどろしたものができてしまい、二酸化炭素の23倍も有害な温室効果ガスであるメタンを排出することになるのです。」

道路沿いでの分別回収を実施している自治体と、同様の枠組みの導入を検討している自治体の数を考えれば、この報告書の知見は再考の必要性を訴えていると、ヒッグス氏は語る。

補足的報告書の中で、イギリスの専門家ティム・エバンズ博士は、ディスポーザの利用に関する誤解に応え、ディスポーザから流されたものが下水道を詰まらせることはなく、下水処理施設で利用されている生物学的プロセスを活発にすることができることが判明したと述べている。

地球への負担を軽減

環境省の試算では、生ゴミはニュージーランド国内を移動する有機ゴミの53パーセントを占める。

同省では、現在ニュージーランドの下水スラッジのほとんどは埋め立て地に運ばれており、ディスポーザから流されたものも先進的な堆肥化への取り組みよりは、いまだに埋め立てに回されることが多いと述べている。

埋め立て処分場からの温室効果ガスの排出量は、堆肥化施設からの排出量よりはるかに多い。 ディスポーザも既存の下水処理施設の負担を増加させる。

施設は将来の下水量の増加を見込んで設計されてはいるが、その処理能力にも寿命にも限界があると同省ではいう。

ニュージーランドでは、多くの下水処理施設が沈殿池を利用した処理を行っており、有機ゴミ量の増加に直面すれば満足なゴミ処理はできなくなる。

環境省では、ゴミの増加は施設の機能寿命を縮め、処理システムに過度な負担をかける可能性があるとしている。

施設のメンテナンスの回数が増えたりや機能向上が必要になったりすると、結局は公共料金納付者がそれを負担することになる。

このような問題を克服するために、同省では地方自治体や専門家とともに、下水スラッジをリサイクルおよびリユースするための、革新的で文化的にも受け入れやすい方法を開発、実行しようと努力している。

環境省は、新たな下水処理施設を設計する場合、地域から出る炭素量を減らし持続可能性を高めるために、自治体はディスポーザが果たす役割を考慮すべきだと述べている。

資源としての生ゴミ

ニュージーランドの34パーセント以上の家庭にはディスポーザが設置されている。ゴミは、新たな消費を生むことなく水で流される。のみならず、生ゴミは以下のような方法で、バイオガスや土壌改良剤を作るのに利用され得る。

生ゴミの資源化

翻訳:日本エマソン

日本エマソン社ならびに弊社(ISEジャパン)による日本語訳の文献を含め、無断引用、無断転載を固く禁じます。


Information一覧ページへ